・・・・・・・・・ テーマで選んで並べてみると、絵本っておもしろい ・・・・・・・・・

 

 

 

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“言葉にこだわって選ぶ・・・”の号 2024.6.20

 

絵本には様々な魅力がありますがそのひとつが、ことばの美しさです。20〜30Pという限られたページ数の中に一つのお話世界を描くのですから、使われる言葉は当然推敲されます。このように作られる絵本の中でも、美しくて過不足のない表現と魅力的なリズムを持った文章に満ちた作品に出会うと、思わず声に出して読みたくなってしまうものです。
勿論、別の魅力を持つ絵本もありますからそれだけが基準にはなりませんが、お店の棚にならべる絵本には、言葉に拘っているつもりです。今回ご紹介の3冊は、その中でも格別のお気に入りです。

 

 

 

 

ことばどんどん

どうぶつ



内田麟太郎  内山晟 写真  
本体 \980.
ひかりのくに
横17.5cm×縦19cm
初版 2022/10 
おすすめ年齢:0歳〜

 

 

この絵本は一見すると、よくある「もののえほ」のようですが、
開いてみると、迫力いっぱいの動物たちの写真に添えられた言葉が楽しくて、
読者である小さい人と動物たちの間をグンと近くするのを感じます。
リズムのあるユーモラスな描写は、詩人ならではの捉え方でしょう・・・。
例えは象のページでは、
「おもいぞう ながいぞう でっかいぞう
この場合のぞうは、重い象なのか、重いぞ〜って言ってるのか、
あなたならどう読みますか?
 

 

 

せっけんつけて

ぶくぶくぷゎー

 
岸田 衿子 文  山脇 百子 
本体 \1,100.
福音館
横16cm×縦21cm
初版 1999/6 
おすすめ年齢:2歳〜

 

 

ことちゃんがお洗濯していると、動物たちがやって来ました。
ウサギさんとリスくんとクマさんとねこさんたちと。
みんな、一緒にお洗濯を始めます。
ことちゃんと動物たちとのやり取りや、お洗濯の様子が、
愉快で軽快で、楽し気で。
この絵本が届いた時には、誰もいない店内で大きな声で読んでしまいました。
岸田さんも山脇さんも今はもういらっしゃいませんが、
この絵本を読んでお洗濯ごっこをした子がたくさんいますよ!とお伝えしたいです。
 

 

 

おおきなかぶ



アレクセイ・N・トルストイ 
内田莉莎子  佐藤忠良 絵
本体 \1,000.
福音館書店
横20cm×縦27cm
初版 1962/5月号こどものとも
おすすめ年齢:2歳〜

 

 

今パパママ世代の方で、うんとこしょ どっこいしょ という掛け声を
知らない方はいないのでは・・・というくらいに、
保育園や幼稚園で読まれてきたのが、この絵本です。
わたしも読んだ回数数知れず、今では全文ソラで言えるくらい読みました。
現在の版は2007年となっているのですが、雑誌こどものともとして出されたのは、1962年です。
60年まえから、こどもたちの耳に うんとこしょ どっこいしょ  が
届いていたと思うとゆかいになりますね。
絵の表現とぴったり合わさった、シンプルだけどリズムがあるくり返しは、
永遠の名訳と言えるのではないでしょうか。
 

 

 

 

“ともだち絵本の号”その1  2024.3.15

 

あえてともだち絵本と言うまでもなく、絵本には友だちとのことが描れている作品かなりの割合でありますね。

今年初め、店内に散らばるようにあるそういった絵本の中から、改めて友情にまつわる絵本を平台に集めて、ともだち絵本16冊 のミニフェアをしました。その企画の記録も兼ねて、そこからさらに厳選した8冊をここにご紹介し体と思います。あなたの心に響くのはどの絵本でしょうか。

<その1>ちいさい人たちが日常体験することの多いテーマの絵本
<その2>人生を重ねるにつれ違う色合いが見えてくる作品
のふたつに分かれています。

 

 

 

 

ひとつずつ



八木田宜子  長新太   
本体 \1,200.
絵本塾
横17.6cm×縦23cm
初版 2017/04 
おすすめ年齢:2歳〜

 

 

おなかペコペコのこざるさんたち。
バナナは5本、こざるはさんびき。
なかよく一本ずつ食べたあと、残りの2本が分けられない。
もう一本ほしいけど、食べられないともだちが出来るのもわかります。
どうしたらよいかわからずワーンと泣く様子は、
人間だったら、ちょうど2歳児さんたちみたいです。
おはなしにはこの後、ぞうさんが登場して、
こざるたちを怒らせたり喜ばせたりするんですよ。
 

 

 

い〜れ〜て

 
中川ひろたか  市居みか 
本体 \1,300.
金の星
横21.7cm×縦26.4cm
初版 2020/0 
おすすめ年齢:4歳〜

 

ぼくは、ともだちと遊ぶのが苦手。
縄跳びだってうまく飛べないし、失敗すると笑われるし。
だから、一人でお絵かきする方がずっと好きなんだ。
それでね、画用紙に描いたうさぎさんに誘われて、のはらにいったよ。
ふたりでたのしく過ごしているうち、
あ!足を踏み外してがけ下へ落ちてしまった。
どうしよう。
すると、心配して駆け付けたクラスの仲間たちが引っ張り上げてくれたんだ。
それから、い〜れ〜て!ってみんなと一緒に遊べるようになったよ。
 

 

 

ぼくとクッキーの

なかなおり



かさいまり 文・絵
本体 \1,300.
小峰書店
横21cm×縦23cm
初版 2023/02  
おすすめ年齢:4歳〜

 

 

 
仲良しだからつい言い過ぎて、クッキーをイヤな気持ちにさせちゃった。
え?たったこれだけのことで?
ぼくはそんなふうに思ったんだけど、クッキーは怒ってる。
どうしたらいつもの二人に戻れるんだろう。
また一緒に遊びたいのに、ごめんねということばが出てこない。
 
仲良しだからこそ、ケンカもします。
仲直りって難しいですね。
シリーズに、お引越しのお話「ぼくとクッキーの さよならまたね」があります。
 

 

ふたりはともだち



ア−ノルド・ロ−ベル 文・
三木卓 
本体 \950.
文化出版局
横15cm×縦21.5cm
初版 1983/04  
おすすめ年齢:5歳〜

 

 

春になったので、かえるくんはガマ君を起こしに行きました。
でも、ガマ君は不機嫌な様子でまたベッドに戻ってしまいます。
心が浮き立つ春の日がやって来たのに。新しい一年が始まったのに。
かえるくんはこの素敵な日々を、仲良しのガマくんと一緒に過ごしたいのです。
そこでかえるくんは、何とかしてガマくんを起こそうと作戦を練ります。
この本にはこれを含め5話収録、シリーズは他に3冊。
どれも、お互いを思う気持ちと遠慮のない関係が楽しいお話がいっぱいです。
ともだち絵本で一番に思い浮かぶシリーズです。
 

 

 

“ともだち絵本の号”その2  2024.4.15

 

ともだちのなまえ



内田麟太郎 文 はしもとみお 彫刻・絵 
本体 \1,400.
教育画劇
横20.7cm×縦20.7cm
初版 2023/11
おすすめ年齢:小学生〜

 

 

ある小さな島に、イグアナがひとりで住んでいました。
気候も良く食べ物も十分で、何不自由ない暮らしでした。
ある時この島に、羽根を傷めたカモメが落ちて来ました。
薬や食べ物を運んでお世話するイグアナに、カモメは聞きます。
ひとりぼっちなの?ともだちはいなかったの?
そしてカモメは島の外のことを語り、歌って聞かせてくれるのでした。
けれども楽しかった日々は過ぎ、カモメはやがて南の国に旅立って、
イグアナはまた、島にひとりになりました。
 
※ イグアナとカモメは、動物肖像彫刻家による木彫りです。
 

 

はるとあき



斉藤倫/うきまる  吉田尚令  
本体 \1,300.
小学館
横19cm×縦24cm
初版 2019/05 
おすすめ年齢:5歳〜

 

 

冬の季節がそろそろ終わるころ、
はるは目覚めて ふゆと交代します。
そして何か月かすると、はるなつに季節を譲るのです。
こうして季節が巡る中、はるはふと気が付きました。
そういえば、あきとは会ったことがない。
そこではるあきに手紙を書き、なつに託しました。
あきからも返事が届き、はるあきは手紙を交わします。
決して会う事のない二人なのに、手紙の結びにいつも、
「いつかおあいできることを」と書いて。
 

 

くまとやまねこ




湯本香樹実  酒井駒子 
本体 \1,300.
河出書房新社
横24.2cm×縦18.7cm
初版 2008/04  
おすすめ年齢:小学生〜

 

 

くまの大切なともだちだった小鳥が死んでしまいました。
昨日まで、一緒にいられる幸せを語り合っていたのに。
悲しみに暮れるくまの耳には森の仲間からの声も届かず、
亡骸の入った箱を抱いてくまは家に閉じこもってしまいます。
そんな日々を過ごす中、窓からの風にに誘われるように野原に出たくまは、
バイオリン弾きのねこに出会います。
くまの悲しみと寂しさを知ったねこは、
きみとことりのために・・・とバイオリンを奏で、
悲しみに固まってしまっていたくまの心を、その音色がほぐすのでした。
 

 

こっちとあっち



谷川俊太郎  樋勝朋巳 
本体 \1,600.
クレヨンハウス
横22cm×縦21.8
初版 2023/02 
おすすめ年齢:5歳〜大人

 

 
ぼくは、こっちにいる。
あっちから、ともだちがあそびにきて
けんかになると、ともだちはまたあっちへいってしまいます。
2色に塗り分けられたふたつの世界は、ふたりの心の世界にも見えます。
お互いの心を訪ねあって、けんかして別れ、
静かに待って、また来てくれたら嬉しく迎えるということは、
わたしたちの日常にもきっとありますね。
ドアを閉じてしまわないように・・・。
 

 

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