どんなお家にすもうかな?”の号 2013.3

 当地天白は転勤族の多い町で、春は引越しトラックだらけとなります。引越し先では、どんなお家が待っているのかな? まさかワラの家や石の家・・・ってことは、ないでしょうけど、素敵なお家だといいですね。先人たちは様々に工夫して安全で快適な家を作ってきたし、今も世界を巡ればさまざまな住まいがあります。現代日本は鉄筋コンクリートの家が主流ですけど、もし次に住む家を選べるとしたら、あなたはどんなお家がいいですか?

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三びきのこぶた

イギリスの昔話

瀬田貞二  山田三郎  
福音館
\840.(税込)
初版1960.5
横119.5cm×縦26.5cm
対象:4歳から 

 

 

 

 どんな家を作るかがテーマなら、まず思い浮かぶお話がこれ。お母さんの家を出て、それぞれ自分のお家を持つことになった、こぶた3兄弟ですが、兄さんぶたたちがお手軽に建てた、ワラの家と木の家は、オオカミの「ふう ふう ふう」という息に、あっけなく吹き飛ばされてしまいます。労をいとわず煉瓦で家を建てた弟のぶたは、働き者であるだけでなく、どうやら「自分の頭で考える」賢さも持っていたようで、駆け引きの末、見事にオオカミをやっつけてしまいます。
 わたしがこのお話を初めて聞いたのは多分4・5歳のころ。「どうして木のお家じゃだめなの?」と、不満に思った記憶があります。当時わたしは木の家に住んでいたし、ヨーロッパでは石の家が普通だなんてことも、知りませんでしたからね。「三びきのこぶた」の絵本はたくさん出されていますが、今回ご紹介したのは福音館版です。兄さんぶたたちはおおかみに食べられ、そして、いかにも邪悪に描かれたそのおおかみも弟ぶたに食べられてしまうという、“本当の”三びきのこぶたです。

 


 

こんな家にすんでたら

世界の家の絵本

ジャイルズ・ラロッシュ   
千葉茂樹
偕成社
\1,680.(税込)
初版2013.2 
横26cm×縦28.5cm
対象:5歳から

 

 

 

 土の家、木の家、洞窟を利用した家に、水の上の家、移動できるパオやキャンピングカーまでが、精巧なペーパークラフトで再現されています。建築様式や材料などのデータも添えられていますが、想像力を掻きたててくれるのは、「こんな家に住んでいたら・・・」に始まる作者の短いコメントです。たとえば中国の楼のページには、「こんな家に住んでいたら、自分の家にいても遊び友だちにはこまらない。」で始まって、大家族が一緒に暮らす楽しさと便利さが説明されています。この絵本に紹介されている家のうちで、わたしたちにも作れそうなのは「ツリーハウス」でしょうか?枝が横に張り出した大きな木が一本あったら。

 


 

地球生活記

世界ぐるりと家めぐり

小松義夫
福音館
\5,250.(税込)
初版1999.6
横24cm×縦31cm
対象:子どもから大人まで

 

 

    

 写真家である著者が30年かけて世界各地の普通の人々の暮らしを撮った、“世界ぐるぐるおもしろ住宅訪問記”です。さまざまな土地で、風土に合った家を建て、逞しく生きている人・人・人。「生きる」と「住まう」がしっかり結びついていて、平凡なマンションに暮らすわたしにはとても羨ましく思えます。
 これは絵本ではなく、また子ども向けでもありませが、子どもも大人も、この一冊から世界中の人の暮らしを生き生きと実感できるはずです。一家に一冊、お奨めします!


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