"お付合いってむずかしいね・・・友だち関係"の巻その2   2005.9

 子どもの本に大人が求めるものは、正直さや優しさ、頑張れば夢は叶う・・・等のメッセージ性なのでしょうか。わたしの個人的な好みをいえは、どちらかというと、その時々の気持ちが正直に描かれているような作品です。教訓的な要素のあるものは敬遠気味で、悪い主人公ダメな主人公にとても惹かれます。子どもたちはそんなピコットのセレクションを喜んでくれるのですが、大人の方の評価はどうなのでしょう。売れない本屋のつぶやきです。(^^) 今回も、ともだちをテーマにしました。

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となりのたぬき

せな けいこ作・絵
すずき出版 ¥1,155.(税込)
横28cm×縦20.5cm
対象:4歳から

 うさぎは、隣のたぬきとどうも上手くいきません。すぐケンカになっちゃう。ケンカしたらまけちゃう。悔しい!ノシてやりたい!「きらい きらい だいっきらい!」と叫ぶのを聞いていたお月さまが言いました。うさぎがひと月の間たぬきに、うんと親切に出来たら、替わってタヌキをやっつけてあげる、と。そう聞いて、ウサギはタヌキに親切の大サービス。すると最初は威張っていたタヌキの方も、だんだん優しくなってきました。「あの うさぎ ほんとうは いいやつなんだ」とたぬきが仲間に話しているのを聞いて、うさぎは大慌て。たぬきをやっつけるのはやめて下さいと、涙ながらにお月さまとの約束を取り消しに行きましたって。瀬名さんお得意のこういう単純明快(!)な解決を有り難いという気分になること、大人のわたしたちだってありますよね?

 



いっぴきおおかみの
    そろり

福田岩緒作・絵
教育画劇 ¥1,260.(税込)
横22.5cm×縦26.5cm
対象:4歳から

 いばりんぼうの一匹おおかみ、そろり。「ねえ きみたち、ちょっとでいいから その ごちそうを ぼくに わけてくれない?」と言わなくてはいけないと、ちゃんとわかっているのに、ついカアッとして、「やい!うさぎども。その たべものを おれに よこせ!」と言ってしまいます。こんなふうですから、森の仲間と友だち付き合いは出来ないそろり。我慢の足りない自分を情けなく思いながら、このやっかいな癖をなかなか改められないでいます。雪の積もった寒い森で、日向ぼっこのきつね一家に「いれて」と言えず、いつものように驚かせて追い払ってしまった後、そろりは寂しい気持ちで日向ぼっこをはじめましたが、1人では少しも暖かくありません。寒さで気が遠くなったそろりは、春の野原でお母さんと一緒にいる暖かな夢を見ました。「ほんとうに あたたかい・・・・・」目を覚ましたそろりは、びっくり。そろりを取り囲んで、たくさんの森の仲間たちが一緒に眠っているのです。心も温かくなったそろりは、「ごめんね・・・・・・」とつぶやくのでした。そろりの気持ちに共感する子も多いはず。誰だって一度は"そろりになった"こと、あるはずですから。





げんこのキモチ  

礒みゆき作・絵
ポプラ ¥1,365.(税込)
横26cm×縦26cm
対象:6歳から

 たかしは、カッとして今度はお兄ちゃんをたたいてしまった。悪いのはお兄ちゃんなのに、殴ったぼくが怒られる。ぼくの味方は誰もいない。ぼくのげんこの気持ちなんて、だれもわかってくれない。お母さんに叱られて一人公園にいる時、たかしはまよい犬に出会った。たかしと犬の心は通い合い、「世話をする」「もう決して人を殴らない」という約束で、その犬を飼ってもらえることになる。ところが「デン」と名付けた犬は、人を噛む犬だった・・・。お父さんが探して来てくれた訓練士さんによると、虐待された経験から、怯えて噛んでしまうらしい。噛み癖が直らなければ、デンは保健所で殺処分されてしまう。絶対直さなくては。訓練士さんの支えで、たかしはデンの訓練に励む。訓練がうまく進まないとき、ひどく叱ってしまい、お母さんもぼくに対してこんな気持ちだったのかと気付くたかし。ぼくは諦めない。ぼくは逃げない。デンの味方だから。デンを信じているから。デンを守ろうとすることで、自らを律することも学んで行くたかしの成長物語であると同時に、これは動物の権利を考える物語でもあると思いますます。



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