"お付合いってむずかしいね・・・友だち関係"の巻  2002.9

  「仲良くね!」と大人は言います。そう言う大人にだって、人間関係は難しいものです。ましてや経験の浅い子どもたちでは、けんかになってしまったり、そんなつもりはなくても"いじめた"と受け取られて、心を痛める事だって珍しくないでしょう。それでも相手の求めていることがわかり、誤解が解けたら、あっという間に仲良しになってしまえる柔軟な心を持つのも子どもたち。友だち関係を扱った絵本が好評なのは、共感できる体験をたくさん積んでいるからなのだろうと、子ども時代の真っ直ぐさを感じます。
 今回取り上げたのは大きい方向けの翻訳ものばかりですが、ますだくんシリーズや、1年1組シリーズもおすすめです。

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いじわるブッチー  

ボっトナー作 
ラスマン絵・ひがし はるみ訳
徳間書店¥1,300.
横22.5cm ×縦28.5cm

対照:幼児から

 ブッチーのママとわたしのママは仲良しで、ママたちが会う時、二人は子供部屋で一緒に遊びなさいと言われます。でも、ブッチーはいじめっ子!わたしが本を読みましょうと誘っても、ペットのトカゲ・アイリーンをみせてあげても、ブッチーの反応は超過激。大声をだして暴れたり襲ってきたりするんだもの。"わたし"には二人っきりで過ごす時間が恐怖です。それなのに、ブッチーは両親の都合でお泊りに来ることになります。「よかったわね」とママはいうけど、とんでもない!いったいどうすればいいの?・・・大人は、「子どもは子ども同士」と信じているけれど、そんなに簡単なことでもないのが、この本を読むとよくわかります。でも、一見物静かな"わたし"は、この日反撃の作戦を立てていますよ。ブッチーだって弱みのある普通の女の子だったのですね。





 

ストライプ

シャノン作 清水奈緒子訳
セーラー ¥1,500.
横23.5cm ×28.5縦cm 
対照:幼児から

 ほかの人の目ばかり気にする女の子、カミラ。みんなが嫌いだといえば、大好きなリマ豆も食べません。新学期の朝、どんな洋服を着たらみんなに気に入ってもらえるかと頭を悩ませていた彼女は、鏡を見てびっくり!頭からつま先まで、色とりどりの縞模様になっている自分が映っていたのです。その日からカミラの体はどんどん奇妙になっていきました。つぎつぎとおかしな模様が現れ、体の形も変わり始めました。専門家たちが治療に駆けつけ、TV局が取材に押しかける騒ぎになっても、カミラはまだ、周りを気にして自分の気持ちが言えないでいます。そんなとき、ひとりのお婆さんが現れ、「おじょうちゃん、あなた、これが好きなんでしょう?」と、カミラが嫌いな振りをしているリマ豆を・・・。(わたしったら、こんな変な体になったっていうのに。それにくらべたら、リマ豆を食べるのを笑われるくらい、なんだっていうの?) 「うーん、おいしい」と本当の事が言えた途端に、カミラの体はもとの女の子に。



 

ほんとうのことを         いってもいいの? 

 

マキサック作 
ポター絵
 
ふくもと ゆきこ訳 
BL¥1,300.
横23.5cm×縦28.5cm
対照:小学生から

 リビーはママに、初めて嘘をつきました。早く遊びに行きたかったのです。思いがけずすらすらと口から出てきたのに、嘘は言ってしまうととても苦しいものでした。ママに叱られ、遊びに行かせてはもらえませんでしたが、本当のことを言ったのでリビーはずいぶん楽になりました。そして、リビーは二度と嘘をつくまいと誓ったのです。ところが、本当のことを言うことで、今度は回りの人たちと上手く行かなくなってしまいます。人前でルーシー・メイに「くつしたにあながあいているわ」と知らせ、聞かれてもいないのに「ウィリーは地理の宿題をやっていないんだって」と先生に言い、みんなの失敗を思い出しては次々と口にしたのです。みんなに除け者にされてしまったリビーは、「苦しくても本当のことを言う」ってママに約束したのと思いつつ、自分でも心が重いのを感じます。「思いやりをもって本当のことをいう」と言うことを学ぶまでの、リビーのお話しです。





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