"お誕生日におくりたい絵本"特集 2002.2

 "おおきくなりたい!"というのは、子どもたち共通の強い願いです。だから、失敗したり大人に指図されたり、時には叱られたりする事も多い毎日を、くじけず生き生きと暮していけるのでしょう。そんな子どもたちにとって、お誕生日や、入園入学・進級といった、成長を自覚できる節目の行事は、格別に嬉しいものだと思います。そういった機会に、待ち望まれた誕生の時を振り返ったり成長を喜びあえる、こんな絵本を贈ってあげてはいかがでしょう。

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おかあさんが 

  おかあさんになった日

長野ヒデ子作・絵 
童心社¥1,300.(本体)
横19.5×縦26.5p
対象:幼児からお母さんまで

 
 ご飯やおやつを作ってくれて、絵本を読んでくれて、悲しい時にはぎゅっと抱っこして慰めてくれるお母さん。お母さんの存在は、子どもにとって絶対です。でもね、お母さんをお母さんにしたのは誰でしょう?この絵本は、赤ちゃんの生れる日が近づいて入院してから、苦しい陣痛を経て赤ちゃんと対面するまでのお母さんを描いています。赤ちゃんを抱っこしたお母さんは言います。「あなたのおかげで わたしは おかあさんに なれたのよ。わたしのあかちゃん ありがとう。」




 

あやちゃんのうまれたひ

浜田桂子作・絵 
へんみ まさなお訳
福音館 ¥800.(本体)
横19.5×縦27p
対象:幼児から

もうすぐあやちゃんの誕生日です。「うまれたときね、ちっちゃかった?」と聞くあやちゃんに、きっともう何度も繰り返したにちがいないお話を、お母さんは話してくれます。お父さんもお母さんも、おじいちゃんおばあちゃんもどんなにか待ち遠しく思っていたのに、赤ちゃん用のお布団やおもちゃたちも、「はやく、おいでよー」って呼んだのに、ちっとも生れてこなかった赤ちゃん。「きっと、お腹の中があったかくて、外に出るのが嫌なんだよ。」とみんなでため息ついていたら、ある夜、お腹の中から小さな声で"うまれるよ"と教えてくれたこと。そして、雪の朝にうまれた小さな赤ちゃんを、家族みんながどんなに喜んだかということ。「ね、そのあかちゃんって、あやちゃんでしょう?」あやちゃんは確かめずにはいられません。大きくなるのは誇らしいことですが、「小さな赤ちゃんだった」ということも、子どもにとってはとっても嬉しい真実です。





おおきくなるっていうことは

中川ひろたか作 村上康成絵 
童心社¥1,3
00.(本体)
横22.5×縦21p
対象:幼児
 おきくなると「服が小さくなる」し、おおきくなると、「大人の歯が生えて」来ます。おおきくなると「高いところに 登れる」し「高いところから 飛び降りられる」し、何と言ってもすごいのは、大きくなるって、「飛び降りてもだいじょうぶ」か、ちゃんと考えられるっていうこと。そして、おおきくなるっていうことは、自分より小さな人が多くなるってこと。おおきくなるっていうことは、ちいさなひとに やさしくなれるっていうこと。お馴染みピーマン村シリーズの中の人気の1冊。"またひとつ おおきくなった。 おめでとう みんな。"

わたし

谷川俊太郎作 和田誠絵 
福音館¥838
.(本体)
横21.5×縦24.5p
対象:幼児から
 「おかあさんから みると むすめの みちこ」「おばあちゃんから みると まごのみちこ」である私は、「おとこのこから みると おんなのこ」で、「(いぬの) ごろうから みると にんげん」で「うちゅうじんから みると ちきゅうじん」。それに、「おともだち」で「せいと」で「やまぐちさんちの したの おこさん」でもあるわたし。人はそれぞれの年齢で「自分」を意識しながら生きて行きますが、この絵本では、ちいさな女の子であるわたしを、谷川さんが明快な言葉で表してみせています。「ほこうしゃてんごく では おおぜいの ひとり」そうそう、このことも、絶対に知っていて欲しい。

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